投資商品 | 金利 | 備考 |
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普通預金 | 0.001% | |
定期預金(大口) | 0.002% | 1,000万円以上の標準金利 |
国債(個人向け) | 0.07% | 変動10 |
不動産投資 | 5.80% |
「普通預金より5800倍も利回りが良い」と考えられたならば要注意です。

⇒何故ならば、税金を含め支出について全く計算されていない表面利回り(グロス利回り・粗利回り・単純利回り)だからです。
・表面利回り=月額賃料×12ヶ月÷物件価格×100
上の表の様に不動産の表面利回りと銀行預金の金利等を比較が散見されますが、『【ダマされない】イールドギャップ』をご覧頂いた方ならばお気付きと思うのですが、単年度比較であれば、せめてFCR(総収益率)(※1)かCAPレート(ネット利回り・純利回り)(※2)、若しくは総合収益率(※3)を適用するのがベターでしょう。
表面利回りでは、実際よりも著しく良い商品と誤認してしまう恐れがあるからです。
(※1)FCR=NOI(営業純利益)÷(物件価格+諸費用)×100
(※2)CAPレート(%)=NOI/物件価格×100
(※3)総合収益率(%)
=(純収益/期首の資産価格)+{(期末の資産価格-期首の資産価格)/期首の資産価格}
=インカムゲイン収益率+キャピタルゲイン収益率
何故ならばOPEX(運営費)・GPI(想定賃料)・空室率・EGI(実効総収入)の要素がなく、新築の場合は新築プレミアムでの賃料にて計算されています。
後、不動産を金融機関から借り入れせずに購入するケースは非常に少ないことから借入の利息額についても加味しなければなりません。
異なる収益物件には、ADS(年間借入返済額)を考慮しないNOIを使用した指標により純然たる収益力を比較できます。
最大の盲点は(ペイオフ対策をした)元本保証がある金融商品と減価償却資産である不動産(建物)を単純比較していることになります。
不動産(建物)は一般的に経年による下落がある為、元本割れがない銀行預金と比較する際はその点について考慮する必要があります。
従って単年ではなく、出口(売却)までをDCF(割引キャッシュフロー)法であるIRR(内部収益率)やMIRR(修正内部収益率)により比較するのが適切な方法になります。
DCF法とは、簡単に言うと今の100円(現在価値)と10年後の100円は同じ価値ではないとの考え方を取り入れた手法になります。
詳細は改めてブログにアップ致します。
同じ400mの距離で自動車とバイクが競争し、最初の20mについてバイクが早く通過します、と言われても運転技術・馬力・重量・乗車人数・天候の諸条件が不明です。
それらの諸条件を揃えるというのも難しいのですが、公平と仮定しても自動車はパンクし、バイクは20m走行分のガソリンしか入っていないかもしれません。
そこで20mの時点でバイクの方が速いから400mでもバイクが先にゴールするとは限りません。
そうなのです、この上の比較表は論理自体が全くもって成立していないのです。
根本的にゴールである400m先までの競争で20mの時点でどっちが勝ちかは問題ではありません。
従って、20mの時点での勝敗については極々参考程度でレースの途中経過レベルになります。
種類が異なるものを一律にランキングするのは至難の業です。
快適性・安全性を求めるならば自動車、スピードを求めるならばバイクというように細分化により公平性が増していきます。
以上から今回の様な利回り比較ならば、将来起こり得るリスクを含め可能な限りの諸条件を織り込んで先述しましたDCF法を用いるのが妥当と言えます。
20mではなく400mの競争においては、各々のATCF(税引き後現金収支)、最終の出口までの時間という要素を加えて初めて比較のスタートラインに立てることになります。
未来の事を予測する為には限界がありますが、デューデリジェンス(詳細調査)により可能な限りブレ幅を小さくすることが目標となります。
勘や勢いのみで高額な投資を一か八かで進めるのではなく、裏付けとなる根拠に基づくことで成功へと近付いていきます。
仮に想定外な事象により計画通り進まなくとも一時的損失を最小限に抑えることにより、トータルでは誤差の範囲で着地する可能性が高くなります。
原則、不動産投資は短期決戦ではありません。
不動産投資に限らず投資には必ずリスクが付随します。
リスクヘッジとリスクテイクがリターンに比例し、1つのペアになっています。
リスクを「危険」、リスクにより「不確実性」と認識すると理解しやすいものがあります。
不動産投資においては、大きくインベストメント・リスク(マーケット・リスク、事業特性リスク)と不動産リスク(法的リスク、物理的リスク)があります。
自分ではコントロール不可な外的要因がありますが、事前準備によりマネジメントの範囲が広がります。
そこが不動産投資である不動産賃貸業の事業としての面白みではないでしょうか。
それを包含している商品と普通預金を単純比較するのも甚だ奇異な印象を受けます。
誤解なきように念の為にお伝えしますが、私は不動産投資を非常に優れた投資商品と評価しています。

私は、表面利回りのみを引っ張り出したり、時間の概念をなおざりにし誇張した広告等により消費者(不動産投資家)を欺くのは故意であろうとなかろうと投資物件を取り扱うプロとしては失格と考えます。
プロたるものは正しい知識・経験に基づき、投資家を正しい方向に導くのは至極当然の事と思います。
その為には不動産投資業界は、レベルの底上げを図る必要があります。
不動産投資を業として行うには、それに特化した免許や資格を必須にすべきでしょう。
他の不動産会社の書籍、セミナー、動画、メルマガ、ブログなどを拝見しますが、その中には子ども騙しのものが多く含まれています。
クローズドな空間だけではなく、公に露出していれば信憑性に疑いをもつことが無くなるのではないでしょうか。
それを見抜くには、ご自身で不動産投資の基礎だけでも学べば十分に取捨選択が可能になります。
ご相談頂いた方の中には最初から手放しで不動産会社の営業マンを信用して思考を停止されているケースがあります。
魑魅魍魎が跋扈する業界とは言いませんが、私がお手本にしている素晴らしい会社がある一方で良くない会社があるのも事実です。
良くない会社の営業マンはお客様の為ではない私利私欲によりあの手この手で近付いてきます。
しかし、騙しの手口というものは、本記事・『【ダマされない】イールドギャップ』・『不動産会社の選び方 ~その1(アプローチ前 編)~』をご覧頂ければご理解頂けると思うのですが、高度な知識をもって高等な技術で行われているわけではありません。
ですので、ご自身でも少なくとも不動産投資の基礎は必ず勉強されることをお勧め致します。
私自身も日々勉強です。
少し話が脱線してしまいました。
では、今回のまとめです。
- 不動産投資は、初年度の節税、単年度の表面利回りだけにスポットを当て判断するものではありません。
増してやそれが新築の初年度となると新築プレミアムでの賃料設定になります。
それが運営期間中も継続するという事はありません。
- 原則、不動産に限らず投資はリスクとリターンが比例し、リターンだけのものはありません。
- 出口までを見据えてIRRなどの指標を含めて多角的に投資適格の判定をすべきです。
最後まで、お読みいただき誠にありがとうございました。
感謝
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不動産コンサルティング会社 株式会社81ラボ
代表取締役 中川 義浩
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