・表面利回り:4.4%
・借入金利:2.0%
「2.4%の差(イールドギャップ)があるから支払いができなくなること(デフォルト)はない。」というセールストークでリスクがないと安心しませんでしたか。
⇒これは正直そういうものと額面通りに受け取ってしまっても不思議ではありません。
そして、某大手不動産会社ホームページでも同様の説明がされています。
しかし、これは営業マンの悪意なのかは置いておいて、真のイールドギャップとは言えません。
真のイールドギャップの計算式は下記の通りです。
・イールドギャップ(YG)=FCR(総収益率(※1))-K%(ローン定数(※2))
(※1)FCR=NOI(営業純利益)÷(物件価格+諸費用)×100
(※2)K%=ADS(年間借入返済額)÷借入額×100
例えば、
新築ワンルームマンション
・販売価格:2000万円
・年間賃料888,000円(月額74,000円)
・金融機関借入(借入金額1990万円・金利2%・融資期間35年)
上記の販売価格・年間賃料より888,000÷20,000,000×100=4.44%
表面利回り(グロス利回り・粗利回り・単純利回り)4.44%となります。
■FCRは、
OPEX(運営費)として、
・固定資産税・都市計画税:年税額が55,000円
・管理費・修繕積立金:年額合計100,800円
とすると約3.66%、
賃貸管理手数料 年額44,400円(賃料×5%)を加えると約3.43%。
■K%:約3.97%(ADS約791,000円÷19,900,000×100)
3.43%-3.97%=イールドギャップ無し

FCRが計算途中でしたので、購入時の諸費用・OPEXの予備経費を加え、GPI(想定賃料)から空室率をマイナスしEGI(実効総収入)と引き直すと・・・
とやるまでもありません。
これが真のイールドギャップなのです。
冒頭の
「表面利回り4.4%-借入金利2.0%=2.4%」
と、どちらを投資指標にすべきか言うまでもありません。
何故この様な結果になったのでしょうか。
NOIは、収入である賃料だけではなく、支出であるOPEX、適正な賃料GPI・空室率から算出します。
購入時には諸費用が必要になります。(諸費用サービスのケースもあります。)
金利だけでは返済額は決まりません。
借入額と返済期間の3つから計算するものです。
この様に表面利回り・借入金利には実質的な比較をする為の要素が含まれておりません。
表面利回りは読んで字の如く、総収入を尺度としているだけの表面であり、精査をする為にはその内部確認が必要になります。
因みに、
687,800円(NOI)÷約791,000円(ADS)≒約0.869(DCR)
という1未満になりデフォルト状態になります。
BER(損益分岐点)については、計算するまでもありません。
机上にて、例の不動産投資の不適格判定が出来ました。
但し、イールドギャップは投資指標(レバレッジ)の1つであり、イールドギャップが確保できるから必ずしも良いというものではありません。
CFはどうでしょうか。
加えて、様々な投資指標があります。
また、机上だけではなく現地・物件調査(法務局・役所・所有者、管理会社へのヒアリングなど)でしか顕在化しない事項もあります。
投資目的は千差万別でしょう。
そのゴールにはどの道順が最短距離なのでしょうか。
総合的な判断が必要になります。
大手不動産会社であろうと不動産投資専門会社であろうと不動産投資の知識等のない方が少なくとも過半数以上とみられます。
不動産投資は、不動産投資の確かな知識等のある不動産会社にご相談・ご依頼をされることを強くお勧め致します。
キャッシュフローツリーについてご存知なければ少し理解しにくい箇所があると思われます。
しかし、イールドギャップの解釈を間違えない、これだけでも十分なリスクヘッジになるでしょう。
追って、キャッシュフローツリーの解説をブログにアップ予定です。
最後まで、お読みいただき誠にありがとうございました。
感謝
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